奥久慈茶の歴史と特徴
江戸時代から栽培が始まったといわれる「奥久慈茶」は、日本屈指の銘茶であり、大子町が誇る特産品のひとつです。冬の寒さが厳しく、昼夜の寒暖差が大きい奥久慈の気候は、茶葉をたくましく強い、肉厚の葉に育てます。その味はコクと深みがあり、香りも強いのが特徴です。色と香りに特徴がある奥久慈茶は、水出し茶でも鮮やかなグリーン色で爽やかに楽しめます。
公園内の施設と体験
茶摘み体験
茶畑に囲まれた「奥久慈茶の里公園」では、5月下旬から6月中旬頃の新茶の季節限定で、清々しい香りに包まれて新芽を摘む「茶摘み体験」が可能です。
手もみ茶体験
昔ながらの製法を体験する「手もみ茶」に挑戦できます。自分で作った手もみ茶はお持ち帰りも可能です。(有料)
こんにゃく作り体験
古くから奥久慈地方ではこんにゃくの産地として知られています。ここではこんにゃく芋から作る、昔ながらのこんにゃく作りが体験できます。大子町の綺麗な水で作るこんにゃくはぷりぷり食感でやみつきになります。
そば打ち体験
全国に名高い常陸秋そばを使ったそば打ち体験も楽しめます。生地を作るところから始め、そば打ち名人直伝の美味しい蕎麦ができあがります。作ったそばはその場で食べることもでき、お持ち帰りもできます。
本格的な茶室での体験
園内には茶畑と体験施設のほか、本格的な茶室や物産館、芝生広場や和紙人形美術館もあります。本格的な茶室で抹茶・煎茶体験ができ、芸術的な味わいのある作品が展示されています。
和紙人形美術館
和紙人形作家の山岡草の作品を展示している「和紙人形美術館」も人気です。ミニギャラリーでは町民たちの芸術作品の発表の場として解放しており、毎月展示入れ替えを実施しています。
山岡草常設館
和紙のもつ「温かさ・優しさ・力強さ」の魅力を奥久慈大子の豊かな自然の中で和紙人形として表現した和紙人形作家の山岡草の作品常設展です。季節に合わせて展示入れ替えも実施しています。
物産館
物産館では奥久慈茶や地元の新鮮野菜を販売しています。各お茶農家の見所や美味しさなども紹介しています。
御食事処
御食事処では山菜うどんや、天ざるそば等など旬の食材を使った天ぷらなど提供しています。
広場
公園内には大きな広場を備えており、季節の花々を楽しみながら運動ができます。緑の芝生に心地よい風の中、グラウンド・ゴルフをはじめ遊具で遊んだり、ウォーキングしたりなど、子供から大人までのんびりと過ごせます。
奥久慈茶の栽培と特徴
茨城県は関東有数のお茶の産地です。県内には、南西部の「さしま茶」、県央部の「古内茶」、そして、県最北に位置する「奥久慈茶」と3つの茶産地があります。
奥久慈茶は、久慈川の源流がある八溝山地に近い町北部の集落の山間の畑で栽培されています。500軒ほどの農家が、やぶきた種を中心にお茶栽培を行っています。その栽培面積は119ヘクタールで、製茶の年間生産量は120トンという、小さなお茶産地です。茶葉が厚い分、2煎、3煎目になってもお茶の美味しさが楽しめます。多くの茶畑が日当たりの良い産地地斜面や河岸段丘を利用して栽培されています。
奥久慈茶のはじまり
奥久慈茶のはじまりは諸説あるのですが、最も古いもので室町時代末期頃と言われています。左貫(町北部にあった昔の村の名前)の西福寺の宏明、慶松、常庵という三人の僧侶が京都宇治より茶種子を持ち帰り植栽したとされ、江戸時代後期になり、京都宇治から茶職人を招き宇治流の製茶法が導入されたことで周辺の村々で茶の栽培が広く普及することになりました。
明治、大正期にも当時の最先端の技術・技法を取り入れる努力が篤農家を中心に進められ、パリ万博へお茶が出展されたりしました。こうした努力もあり一時期、昭和20年代に左貫で栽培されるお茶は静岡の「川根茶」に匹敵する銘柄茶として全国として知られるようにもなりました。
大子町北部の地域で栽培されるお茶は、大子町の古い呼称である「保内」を冠し、「保内郷茶」と呼ばれていましたが、市町村合併を機に昭和36年から、町北部の各集落で栽培・製造されるお茶のブランド名を統一して「奥久慈茶」と称することになりました。