創建の歴史
平安時代の創建
村松山虚空蔵堂は、平城天皇の勅額により平安初期の大同二年(807年)に弘法大師によって創建されました。本尊の虚空蔵菩薩は、弘法大師が鎮護国家、萬民豊楽、平和祈願のために、一刀三拝の礼を尽くして刻んだものと伝えられています。
佐竹氏と徳川家の保護
平安末期から約500年間、常陸国を治めた佐竹氏の保護を受け、近世には徳川家康から朱印五十石を寄進され、水戸藩2代藩主・徳川光圀の庇護のもと朱印寺として栄えてきました。
現在は真言宗豊山派に属し、伊勢の朝熊虚空蔵尊、会津の柳津虚空蔵尊とともに日本三大虚空蔵尊の一つとして、多くの参拝者を迎えています。
再建と発展
明治33年(1900年)には近隣の火災により仁王門、本堂、三重塔、鐘楼等の堂塔伽藍が全焼しましたが、本尊は焼失を免れました。その後、順次再建が進み、現在の姿に至ります。
建造物
村松虚空蔵尊の建造物は、明治33年(1900年)に近隣の火災により仁王門、本堂、三重塔、鐘楼等の堂塔伽藍が全焼したため、すべて近代になって再建されたものです。
本堂(大摩尼殿)
大正六年(1917年)に完成しました。正面奥に宮殿があり、御前立本尊が安置されています。両側には不動明王、毘沙門天王があります。
鐘楼堂
昭和五十二年(1977年)に京都でつくられた鐘で、お堂は昭和五十五年(1980年)に完成しました。
三重之塔
明治三十三年(1900年)の大火で焼失した後、再興百年記念事業として、平成十年(1998年)に再建されました。塔の高さは21メートルで、大日如来が安置されています。
奥之院(多宝塔)
本尊大満虚空蔵菩薩が安置されています。五十年に一回の開帳記念として、昭和九年(1934年)に建立されました。
仁王門と尊像
仁王門は昭和四十五年(1970年)に再建されたものです。仁王尊像には「正和四年(1315年)謹刻」「文禄三年(1594年)塗りかへ」などと記されています。
安産地蔵尊
つくられた年代はわかりませんが、古いものであり、安産を祈る多くの人が参拝しています。
鍾馗霊神堂
お堂の中には鍾馗霊神の絵馬が祀られています。延宝三年(1675年)に伝染病が大流行した際、鍾馗霊神の絵を奉納したところ、大流行が治まったと伝えられ、今も多くの人が参拝しています。
開運堂(十二支守り本尊)
十二支(えと)には、それぞれ守り本尊があります。子年の千手観音、丑年・寅年の虚空蔵菩薩、卯年の文殊菩薩、辰年・巳年の普賢菩薩、午年の勢至菩薩、未年・申年の大日如来、酉年の不動明王、戌年・亥年の阿弥陀如来です。開運堂には、當山本尊の虚空蔵菩薩以外の七尊が祀られています。
芭蕉の句碑
奥之院参道を登った左の松林の中に、「野を横に馬引向けよ時鳥」の芭蕉の句碑があります。
山村暮鳥の詩碑
此の地の風光を愛して山村暮鳥が作した、 「おう土よ生けるものよその黒さに太古のかほりがただよってゐる」 録暮鳥詩犀星、昭和十四深秋。 の詩碑が静閑と座しています。
本坊
平成15年は専誉僧正400年、頼瑜僧正700年の御遠忌の年にあたり、その記念事業として、また新しい世紀への第一歩として以下の特徴を有した本坊を建設いたしました。
晴嵐の碑
砂の坂を上ると急に眺望が開けて、水戸八景の村松晴嵐に出る砂丘の上に、水戸烈公が書いた「村松晴嵐」の自然石が建っています。また、義公が晴嵐の風光を嘆賞して祭船 「ゐこしに見ればむら松の梢によする沖津白波」 歌人 佐藤佐太郎先生は当山参詣の時に 「ここに立ちここに詣でし少年は老鈍となる加護かうむりて」 「砂山の松に音なくただひとつ置く石を見れば濡るるその石」 と詠まれました。
大客殿
昭和9年の時代の趣をのこした大客殿。外部は唐破風で重厚な造り、内部は格天井になっています。
本堂裏いわれ書
白砂青松・村松の海岸 この東に広がる村松海岸は白砂青松の景勝地で、天保4年(1833年)水戸第九代藩主徳川斉昭(烈公)は、水戸八景の一つに選び、自筆による「村松晴嵐」の名勝碑を建てさせた。この碑は村松晴嵐の碑と呼ばれ、この階段を上り。さらに80m程行ったところにあります。
この上の奥の院のわきには、俳聖・芭蕉の「埜を横に 馬引きむけよ 時烏」の句碑と、詩人山村暮鳥の「おう土よ」の詩碑が建っています。 砂浜には、ハマボウフウやハマヒルガオ、松林の中には茸などの植物が多く自生し、野ウサギやリスなどの動物も見られます。大神宮先の砂の高台からは、美しい白い砂、緑の松、青い海を一望することができます。
水戸八景いわれ書
天下の魁水戸のこころ(天保のウォークラリー) 水戸八景とは、水戸徳川家 九代藩主 斉昭(なりあき)が、天保4年(1833年)に領内を巡視し八つの景勝地を選定したものです。
出世稲荷堂
茶吉尼天尊は、東京講社が奉納したもので、商売繁昌の祈願の為、先達行者は毎年正月に21日間修行を行います。
年間行事
村松虚空蔵尊では、多くの年間行事が行われています。
正月初詣護摩(1月1日~7日)
一年の初めに本尊虚空蔵菩薩を参拝し、その年の無事を祈ります。
節分追儺式(2月3日)
歳男、歳女が集まり豆をまくことで、難儀・邪気を除き、福を招く法会が立春の前日に行われます。
学年祭、十三参り(3月25日~4月7日)
数え年の十三歳(満十二歳)は、男女とも人生最初の厄年であり、同時に心身ともに大人へ成長する年齢です。この歳に虚空蔵菩薩に一代の開運を祈願します。
大祭、弓道大会(4月第1日曜日)
大祭を記念して、村内外から多くの参加者が集い、村松山弓道大会が行われます。
七五三詣り(10月~11月)
三歳、五歳、七歳の子供の健やかな成長を願う日本古来の年中行事です。
護摩祈願(毎日)
護摩祈願は、毎日行われ、参拝された方々の諸願成就をお祈りいたします。
御縁日(毎月13日)
十三仏の十三番目が虚空蔵菩薩であることなどから、毎月十三日が縁日とされています。