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花園渓谷

(はなぞの けいこく)

四季折々の表情を見せる自然の宝庫

茨城県北茨城市にある花園渓谷は、花園花貫県立自然公園に指定されている、豊かな自然と歴史が織りなす美しい渓谷です。花園川上流一帯に広がり、春のシャクナゲや初夏の新緑、秋の紅葉には、その美しい姿を一層際立たせ、多くの観光客を魅了します。花園川を挟んで広がるカエデ、イヌブナ、ヤマモミジなどの紅葉は絶景です。

渓谷の地理と見どころ

花園川の上流部に位置する花園渓谷は、本流の約3キロメートル区間と、花園橋(県道27号)付近で分かれた支流の一部を含みます。本流は花園山の北麓から東麓にかけてV字谷を形成しており、「与四郎の滝」などの美しい滝があります。

支流側は花園神社から奥の院へと続き、「七ツ滝」が見どころとなっています。この七ツ滝は険峻な岩場を7段に渡って落ちており、茨城県の名勝に指定されています。

七ツ滝とその伝説

花園神社の社伝によると、七ツ滝の滝壺は花園川・大北川の河口にある磯原海岸の岩場の穴に通じているとされ、その滝壺の底に棲むアワビが花園神社の御神体とされています。神社の氏子はこのアワビを食してはならないとされており、7年に1度、河口の岩場で「潮出祭」という神事が行われます。

自然の宝庫

花園渓谷一帯には「花園」の地名の由来とされるアズマシャクナゲの群落があります。茨城県の天然記念物「花園山シャクナゲ群落」として昭和11年(1936年)に指定されましたが、庭木として持ち去られたり、群落を潰して道路を通したりしたため、現在では群落はかなり減少しています。それでも5月の開花期には花園神社の境内などでシャクナゲが見られます。神社の春季例祭は「石楠花祭」と呼ばれ、多くの人々が訪れます。

キャンプと散策

本流と支流が合流する花園橋付近にはオートキャンプ場なども整備されており、渓谷一帯を散策する出発地点となっています。ここからは様々な散策ルートがあり、自然の美しさを存分に楽しむことができます。

花園川

花園川は、茨城県北部の北茨城市を流れる二級河川大北川の支流です。多賀山地(阿武隈高地南部)の花園山などを水源とし、流域には花園湿原、浄蓮寺渓谷、花園神社、花園渓谷などの景勝地や観光地があります。新緑や紅葉の時期には観光地として多くの人々が訪れます。県内初の多目的ダムである水沼ダムもこの地域に位置しています。

花園湿原とその美しさ

花園川の源流、栄蔵室と花園山の北側の標高700から750メートル付近には、亀谷地湿原(花園湿原)と呼ばれる比較的広い湿地帯が広がっています。湿原には遊歩道が整備され、早春にはミズバショウなどが見られます。この湿原も花園渓谷の一部として訪れる価値があります。

水沼ダムの役割

花園川の中流には水沼ダムがあり、昭和41年(1966年)に茨城県内で初の多目的ダムとして完成しました。このダムは流域350ヘクタールの水害防止や農地178ヘクタールの灌漑を担い、北茨城市の上水道1.2万立方メートルと工業用水1.4万立方メートルを供給しています。

水沼ダムの下流では、花園川は再び峡谷となり、ここは浄蓮寺渓谷と呼ばれています。浄蓮寺渓谷の下端部には花園川発電所(東京発電)があり、水沼ダムから送られる流水で発電を行っています。さらにその下流には華川発電所があり、もともとは常磐炭礦が炭鉱用の発電所として建設したものです。昭和46年(1971年)に炭鉱が閉鎖され発電所も廃止されましたが、平成21年(2009年)に東京発電が取得し、補修や再整備を行って平成23年(2011年)から稼働しています。

まとめ

花園渓谷は豊かな自然と歴史に彩られた美しい観光地です。渓谷内には多くの見どころがあり、四季折々の風景を楽しむことができます。特に春のシャクナゲや秋の紅葉は絶景で、多くの観光客が訪れます。花園川沿いの自然豊かなエリアは、散策やキャンプに最適な場所です。また、地域の歴史や伝説に触れることができる点も魅力の一つです。

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名称
花園渓谷
(はなぞの けいこく)

日立・高萩・奥久慈

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