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花貫ダム

(はなぬき)

自然公園内の美しい景観と海が見えるダム

茨城県高萩市にある花貫ダムは、その美しい景観と多様な魅力から、多くの人々に愛されています。ダムから望む太平洋、四季折々の表情を見せる自然、そして豊かな歴史など、花貫ダムには見どころが満載です。花貫川本流上流部に建設された高さ45.3メートルの重力式コンクリートのダムです。日本では数少ない「海が見えるダム」の一つです。

ダムの特徴

花貫ダムは1972年(昭和47年)に完成し、総貯水量2,880,000m³の容量を誇ります。ダムによって形成された人造湖には特に名称は付けられていませんが、農地防災、上水道用水、工業用水など多目的に利用されています。特に紅葉の時期には渓谷と海を望む絶景が楽しめ、多くの観光客が訪れます。

海の見えるダム

花貫ダムは日本では珍しい「海の見えるダム」として親しまれており、ダムから遠く太平洋を望むことができます。晴天時には海上に浮かぶ船舶も確認でき、紅葉と太平洋の眺望を同時に楽しめる希少なスポットです。

周辺の観光スポット

ダムの下には花貫さくら公園があり、春には桜、四季折々の花が楽しめます。また、周辺にはグリーンベルトと遊歩道が完備されたハイキングコースがあり、ダムの上流には渓谷美を残す花貫渓谷が広がっています。汐見橋や名馬里ヶ淵などの名勝地も多く、茨城県観光百選にも選ばれています。

花貫川とその流域

花貫川は阿武隈高地の南部に属する多賀山地、標高688.2メートルの高萩市大能奥付近に水源を発し、東に流れ高萩市南部を経て太平洋に注ぐ川です。二級水系・花貫川水系の本流であり、流路延長19.4キロメートル、流域面積66.9平方キロメートルの小河川です。

ダム建設の沿革

高萩市は関根川と花貫川という二つの河川に挟まれた地域に位置し、その中心部に高萩市街地があります。花貫川は小規模な河川であり、流量の不安定さから旱魃や洪水などの問題がありました。特に戦後の高度経済成長期には人口増加と工業化により、水の需要が急増しました。

このため、茨城県は治水と利水を一挙に解決するための多目的ダム建設を決定しました。1966年には県内初の多目的ダムである水沼ダムが完成し、その成功を受けて花貫ダムの建設が進められました。ダム建設に伴う補償交渉は比較的スムーズに進み、1969年に本体工事が開始されました。

ダムの目的と効果

花貫ダムの目的は洪水調節、不特定利水、上水道および工業用水道の供給です。ダムの完成により、高萩市内の洪水被害が大幅に軽減され、水道供給も改善されました。また、松久保工業団地をはじめとする工場群への工業用水供給も確保されました。

周辺地域の自然と文化財

花貫ダム周辺はブナやエドヒガンが自生し、カゴノキ・リンボク自生の北限地にもなっている植物学的にも貴重な地域です。文化財としては大正時代に建設された花貫川第一発電所第3号水路橋があり、国の登録有形文化財に登録されています。

観光客に人気のスポット

花貫ダムは高萩市街地から5キロメートル強という近距離に位置し、観光客にも人気です。特に春と秋には多くの訪問客が訪れ、花貫さくら公園の桜や紅葉を楽しみます。1990年に開設された花貫ふるさと自然公園もあり、キャンプやバーベキューを楽しむことができます。

茨城百選に選ばれた観光地

花貫ダムと花貫渓谷は「茨城百選」に選ばれており、その美しい景観は県内外から多くの観光客を引き寄せています。特に紅葉の時期には渋滞が発生するほどの賑わいを見せています。

まとめ

花貫ダムは、治水と利水の両面で重要な役割を果たす多目的ダムです。また、その美しい景観と「海が見えるダム」という希少性から、多くの観光客に愛されるスポットとなっています。周辺の自然や文化財も見どころが多く、四季折々の美しさを楽しむことができます。花貫ダムは高萩市の重要な観光資源であり、地域の発展にも寄与しています。

Information

名称
花貫ダム
(はなぬき)

日立・高萩・奥久慈

茨城県