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浄蓮寺 (北茨城市)

(じょうれんじ きたいばらきし)

茅葺屋根の本堂と、歴史と自然が織りなす静寂の世界

茨城県北茨城市にある浄蓮寺は、古くから人々に親しまれてきた寺院です。天安2年(858年)に慈覚大師が開基したと伝えられ、愛染堂には愛染明王が安置されています。浄蓮寺の敷地内には浄蓮寺渓谷が広がり、苔むす岩に彫られた三十三体の観音像が点在しています。

三十三観音像

華川町の浄蓮寺渓谷遊歩道に沿った岩や山中に点在する三十三観音像は、観世音菩薩が三十三に姿を変えて人々を救うという説に基づいて造られました。これにより、多くの人々が一度に多くの観世音菩薩を拝み、功徳を得ることができます。

浄蓮寺の観世音菩薩像には、石仏と麿崖仏があり、どれも40cm前後の大きさです。複数体の如意輪観音、聖観音、馬頭観音、准胝観音、千手観音、不空羂索観音、十一面観音などが含まれ、地蔵菩薩も1体見られます。

歴史と見どころ

天安2年(858年)に慈覚大師によって開山されたと伝えられる浄蓮寺の山門や本堂を左に見ながら進むと、日陰の道が続き、寺の裏山には修行僧が彫ったとされる33体の観音像が刻まれています。沢沿いの道をしばらく歩くと大小の岩があり、紅葉の時期は特に美しい景観を楽しむことができます。

浄蓮寺渓谷

浄蓮寺渓谷は北茨城市内を流れる花園川の最下流に位置する渓谷です。浄蓮寺から水沼ダムまでの約2キロメートルの流れの両岸には自然林が残り、暖帯シダ類の宝庫となっています。清流の途中には大小の岩があり、流れに緩急をつけています。高さ約10メートルの浄蓮寺滝は、渇水期には一筋の糸のようです。渓谷の右岸には江戸時代のものとされる33体の磨崖仏がひっそりと並んでいます。

花園川と浄蓮寺渓谷

花園川は水谷ダムの下流で再び峡谷となり、蛇行しています。この峡谷部の下流端に位置する浄蓮寺にちなんで、この峡谷を浄蓮寺渓谷と呼びます。渓谷内には弥四郎滝、鮎干(あゆほし)滝、不動滝などがあり、寺の背後の断崖には1,000年前のものと伝わる三十三観音の石仏が刻まれています。

花園川

花園川は、茨城県北部の北茨城市を流れる二級河川大北川の支流です。多賀山地(阿武隈高地南部)の花園山などを水源とし、流域には花園湿原、浄蓮寺渓谷、花園神社、花園渓谷などの景勝地や観光地があります。新緑や紅葉の時期には多くの観光客が訪れます。県内初の多目的ダムである水沼ダムもこの地域に位置しています。

水沼ダム

中流には水沼ダムがあり、茨城県内で最初の多目的ダムとして昭和41年(1966年)に完成しました。このダムは流域350ヘクタールの水害防止や農地178ヘクタールの灌漑を担い、北茨城市の上水道1.2万立方メートルと工業用水1.4万立方メートルを供給しています。

水沼ダムの下流で花園川は再び峡谷となり、ここは浄蓮寺渓谷と呼ばれています。浄蓮寺渓谷の下端部には花園川発電所(東京発電)があり、水沼ダムから送られる流水で発電を行っています。さらにその下流には華川発電所があり、もともとは常磐炭礦が炭鉱用の発電所として建設したものです。昭和46年(1971年)に炭鉱が閉鎖され発電所も廃止されましたが、平成21年(2009年)に東京発電が取得し、補修や再整備を行って平成23年(2011年)から稼働しています。

まとめ

浄蓮寺は歴史ある寺院であり、その周囲には浄蓮寺渓谷という自然豊かな観光スポットがあります。紅葉や新緑の時期には特に美しい景観が広がり、多くの観光客が訪れます。三十三観音像や浄蓮寺滝など見どころも多く、歴史と自然を同時に楽しむことができる場所です。また、花園川沿いには湿原やダムもあり、自然の多様性を感じることができます。

Information

名称
浄蓮寺 (北茨城市)
(じょうれんじ きたいばらきし)

日立・高萩・奥久慈

茨城県