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涌石山 仏性寺(佛性寺)

(ぶっしょうじ)

安土桃山時代に建てられた、全国唯一の八角円堂

茨城県水戸市栗崎町にある仏性寺は、天台宗の寺院であり、涌石山大日院と号します。その本堂は県内唯一の八角堂という特徴を持ちます。鎌倉時代から江戸時代にかけて幾度もの改修を重ね、現在では国の重要文化財に指定されています。

寺院の歴史

仏性寺は、天長年間(824~834年)に平安時代の天台宗の僧、円仁(慈覚大師)によって開山されたと伝えられています。往時はかなりの規模を誇り、淳和天皇の勅願所であったとされています。江戸時代には天台宗世良田長楽寺(群馬県)の末寺となり、天台宗水戸十か寺の一つに数えられました。

本尊と脇侍の仏像

本尊の大日如来坐像と脇侍の三十日仏坐像は、刻銘から共に室町時代中期の作と考えられています。日本における三十日仏信仰は中世から始まったものですが、全国的に作例は極めて少数です。

建築様式と特徴

仏性寺の本堂は面積56平方メートル、高さ11メートルの全国唯一の八角円堂です。県内に類例がない八角堂であり、台輪や柱の粽などに禅宗様といわれる中国の建築様式が見られます。また、貫や間斗束の彫刻には室町時代後期の水戸地方の特色が表れています。安土桃山時代に建てられた建物でありながら、様式的には前の室町時代の雰囲気を伝えています。

仏性寺は、数回の火災により焼失し、その後再建されました。現存する本堂は1585年(天正13年)に建立されたもので、寛永8年(1631年)、寛文3年(1663年)、文化13年(1816年)、明治9年(1876年)、大正6年(1917年)に修復されたことが判明しています。1988年(昭和63年)1月13日には、「仏性寺本堂(附 旧露盤1個)」の名称で国の重要文化財に指定されました。

東日本大震災と修復

2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災で被災しましたが、同年から2014年(平成26年)にかけて保存修理が行われ、銅板葺きだった屋根が創建当時の萱葺屋根に復元されました。この保存修理の際、元禄6年(1693年)の修理で本堂の正面、扉の位置が南面から東面に変更されていたことが判明し、修理後は創建時のとおり南向きに復元されています。

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名称
涌石山 仏性寺(佛性寺)
(ぶっしょうじ)

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