茨城県 » 水戸・笠間・ひたちなか

春風萬里荘

(しゅんぷうばんりそう)

北大路魯山人の別荘で鑑賞

春風萬里荘は、北大路魯山人が住居としていた約300平方メートルの茅葺き民家を、昭和40年に神奈川県鎌倉市北鎌倉から移築し、公開している施設です。この建物はもともと、江戸時代初期に建てられたもので、北鎌倉に移された後、魯山人が住居として晩年を過ごしました。

魯山人の生活様式や芸術に対する情熱を今に伝えています。現在、茅葺き屋根のこの民家は、当時の状態を保ちながら公開され、魯山人の遺作や愛用の品々が展示されています。魯山人自らが設計した茶室「夢境庵」など、こだわりが随所に散りばめられています。

館内展示

館内には、魯山人が自ら手掛けた家具や、魯山人が設計した茶室「夢境庵」があり、年に1~2回ほど茶会イベントも開催されています。この茶室は、裏千家の名茶室「又隠」を手本としており、魯山人の美的感覚が随所に反映された設計となっています。また、展示室では魯山人の遺作が随時展示されており、その多彩な才能を感じ取ることができます。

広大な庭園

春風萬里荘の周囲には広大な庭園が広がっており、桜や梅、つつじ、もみじ、花菖蒲など、四季折々の草花が美しく咲き誇ります。特に春や秋には、訪れる人々を魅了する風景が広がり、自然の中で心を癒すことができます。また、庭園内には京都の龍安寺を模した石庭や、魯山人が設計した池や橋などが配置され、静かで趣のある空間が広がっています。

芸術の村と春風萬里荘

春風萬里荘は、笠間市の南側に広がる「芸術の村」の一部として存在しています。この芸術の村は、豊かな自然環境と共に、様々な芸術家が活動する場として知られています。昭和39年に始まったこのプロジェクトは、当時の著名な芸術家たちが笠間にアトリエを構えることを望んだことから生まれました。魯山人の住居であった春風萬里荘も、この芸術の村の一環として設立され、芸術と自然が調和する空間を提供しています。

春風萬里荘の建物の特徴

春風萬里荘の建物は、江戸時代初期に建てられた茅葺きの入母屋造りで、その重厚な佇まいが特徴です。この建物は、もともとは神奈川県厚木市近郊にあった豪農の母屋であり、後に魯山人によって北鎌倉に移されました。内部には、魯山人が自ら設計した独特の家具や設備があり、その一例として「木レンガ」を敷き詰めた床や自然石を組み上げた暖炉などが挙げられます。

茶室「夢境庵」

館内に設けられている茶室「夢境庵」は、魯山人が千宗旦(千利休の孫)が手掛けた「又隠」を手本にして設計したものです。この茶室は、三畳控えの間、四畳半の本勝手、洞庫口水屋から成り、床柱には黒柿、長押には南天の樹を使用しています。これらの素材選びや設計には、魯山人の「美的空間で日常を満たさねば、美しいものを生み出せない」という信念が込められています。

展示品と名品

春風萬里荘には、魯山人の作品をはじめ、さまざまな芸術家による貴重な作品が展示されています。例えば、高橋是清や草野心平の書、朝倉文夫や北村四海、斉藤素厳、富樫一による彫刻、さらには岡本秋暉の杉戸絵など、日動美術館が所蔵する名品の数々を鑑賞することができます。

茶房「春風庵」

春風萬里荘の敷地内には、静かな茶房「春風庵」があります。ここでは、自然に囲まれた穏やかな雰囲気の中で、四季折々の花を眺めながらコーヒーや紅茶、抹茶を楽しむことができます。訪れる人々は、魯山人の足跡を感じながら、ゆったりとしたひとときを過ごすことができます。

自然と芸術の調和が織りなす癒しの空間

春風萬里荘は、その豊かな自然と魯山人の美学が融合した特別な場所です。四季折々の風景が楽しめる庭園や、貴重な芸術作品に触れられる展示室、そして静かな茶房でのひとときなど、訪れる人々にとって心癒される体験が待っています。芸術と自然が見事に調和するこの空間で、ゆっくりとした時間を過ごし、魯山人の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

北大路魯山人

北大路魯山人は、20世紀前半に活躍した日本の芸術家です。書道、篆刻、絵画、陶芸、料理など、多岐にわたる分野で卓越した才能を発揮し、「万能の異才」と称されました。魯山人の作品には、独自の思想や哲学が深く根付いています。自然を愛し、日本の美意識である「侘び寂び」を深く理解し、その美しさを作品に表現しました。生活そのものを芸術として捉え、多岐にわたる分野で活躍した人物です。

Information

名称
春風萬里荘
(しゅんぷうばんりそう)
リンク
公式サイト

水戸・笠間・ひたちなか

茨城県