千波湖の成り立ちと歴史
千波湖は、水戸市の中心市街地近くにある周囲3キロメートル、平均水深1メートルのヒョウタン型をした淡水湖で、南北を台地に挟まれています。湖の原型は、約5000年から3000年前に古那珂川の堆積物によって古桜川が堰き止められてできた沼地です。大正末期から昭和前期にかけて、湖の東側を埋め立てる工事が行われ、現在の形となりました。
湖の役割と改修
かつての千波湖は、現在の約3.8倍の面積を持ち、水戸城を南から守る天然の堀として、また農業用水源として重要な役割を果たしていました。大正時代には湖の3分の2が干拓され、戦後には耕地として利用されていた土地が市街地化されました。
千波湖の自然環境
千波湖は自然豊かな空間で、多様な動植物が生息しています。特に、水鳥が多く見られ、コブハクチョウやキンクロハジロ、ミコアイサなどの水鳥を見ることができます。環境保全に力を入れており、昆虫類や四季折々の花など、豊かな自然を楽しむことができます。
湖周辺の生態系
千波湖周辺の湧水が湧く湿地には、市街地近郊でありながらホトケドジョウなどの絶滅危惧種の淡水魚類が確認され、環境省の『生物多様性の観点から重要度の高い湿地』に選ばれています。しかし、水質については課題があり、夏場のアオコの大量発生が問題となっています。
千波湖での活動とレジャー
千波湖の周囲には一周約3キロメートルの周回コースが整備されており、ウォーキングやジョギングを楽しむ市民が多く見られます。また、貸しボートやレンタサイクルを利用することもでき、湖上からの景色を楽しむことができます。
千波公園
千波公園は千波湖を中心とした自然豊かな空間で、春には約750本のソメイヨシノなどの桜が美しい花を咲かせ、市民や多くの観光客に親しまれています。
千波湖の見どころ
偕楽園と千波湖
偕楽園は千波湖の湖北西に位置し、湖を借景として利用することで、その美しい景観を楽しむことができます。湖から見た偕楽園の景色も、水戸を代表する景観の一つです。
黄門像広場
湖畔西側には徳川光圀公(水戸黄門)の像が建つ「黄門像広場」があり、市民の憩いの場となっています。
好文cafe
湖の西側にある「好文cafe」は、ガラス張りのデザインで千波湖の水の透明感をイメージしており、明るく開放的な空間です。ここでは、ランチや水戸のお土産品の購入が楽しめます。また、天然芝を張った屋上からは、千波湖や水戸の街並みを眺めることができます。
親水デッキ
好文cafeの正面には、幅30メートル、奥行き最大10メートルの木製デッキ「親水デッキ」があり、湖面に立ったような気分を味わえます。夜には白鳥座の形がライトアップされ、訪れる人々を楽しませます。
デゴイチ(D51515型蒸気機関車)
千波湖畔には、昭和16年に製造され、昭和23年から水戸機関区に所属していた蒸気機関車「デゴイチ」が展示されています。現在は「デゴイチを守る会」によって清掃・保存が行われ、訪れる人々にその歴史を伝えています。
千波湖の野鳥
千波湖では多くの野鳥が観察され、アオサギ、ウグイス、オナガなどの鳥が年間を通じて見られます。また、冬季にはオオハクチョウやカモなどの渡り鳥が飛来し、湖の環境を彩ります。
桜の季節
千波湖の桜並木は春になると約750本の桜が美しい花を咲かせ、多くの市民や観光客を魅了します。最も多い品種はソメイヨシノで、その見事な景観は訪れる人々の目を楽しませます。