祭神
主祭神
主祭神は少彦名命(すくなひこなのみこと)です。少彦名命は、大名持命(おおなもちのみこと)とともに国造りを行ったとされています。
配祀神
配祀神として大名持命(おおなもちのみこと)が祀られています。大名持命は大国主命(大己貴命)の別名であり、大洗磯前神社の祭神です。少彦名命の力を借りて国造りを行ったとされています。多くの神社が古事記や日本書紀、風土記などの神話に基づいて国造りを行った際に、この二つの神を合わせて祀っています。
神話との関連
少彦名命は七福神のえびす、大名持命は大黒天とも関連付けられており、酒列磯前神社でも同様に祀られています。
創建
『日本文徳天皇実録』によれば、856年に神が大洗磯前に現れ、大己貴命が大洗、少彦名命が酒列に祀られ、両社の創建となったと伝えられています。酒列という名前は、酒の神を祀るようになったことに由来しています。
概史
酒列磯前神社は『延喜式神名帳』にも記載され、名神大社の列に挙げられています。しかし中世には衰退し、社殿も存在しなくなっていましたが、近世になって水戸藩2代藩主・徳川光圀によって造営の起工がなされ、3代藩主・徳川綱條により再建され、現在地に遷座されました。
境内の見どころ
拝殿
拝殿正面上部にはリスとブドウの彫刻があり、この彫刻は左甚五郎の作と言われています。また、二の鳥居の左右の狛犬は昭和の石工・飯塚兵吉によるものです。
参道
社殿へと続く参道の両側には、300年以上の歴史を持つ椿、タブノキ、スダジイなどからなる広葉樹林が茂り、約300mにわたる木々のトンネルが広がっています。この神秘的な樹叢は茨城県の天然記念物に指定されており、冬になると椿の花が咲き誇り、鮮やかな色彩で参道を飾ります。その美しい景観は、フォトジェニックなスポットとして人気を集めています。
摂末社
酒列磯前神社には以下の摂末社があります:
- 酒列鎮霊社(さかつらちんれいしゃ) - 祭神:日露戦争より第二次世界大戦までの戦没者506柱。本殿の北隣に鎮座。
- 稲荷神社 - 祭神:倉稲魂命
- 天満宮 - 祭神:菅原道真公
- 事比羅神社 - 祭神:大物主命
- 冨士神社 - 祭神:木花咲耶媛命。子安神として信仰されています。
- 水神社 - 祭神:罔象女命
文化財
茨城県指定天然記念物
酒列磯前神社の樹叢は茨城県指定の天然記念物です。参道両側や境内周辺に広がる広葉樹林(椿やタブノキ、スダジイなど)が含まれています。平成17年に指定されました。
神階
酒列磯前神社は以下の神階を授かっています:
- 天安元年(857年)8月7日、官社に預かる(『日本文徳天皇実録』)
- 天安元年(857年)10月15日、「薬師菩薩名神」の号を授かる(『日本文徳天皇実録』)