筑波実験植物園の概要
筑波実験植物園は、筑波研究学園都市内に位置し、筑波大学にも近接しています。1976年(昭和51年)に設立され、1983年(昭和58年)10月に一般公開されました。現在では、約5,000種類の植物を温帯から熱帯まで世界中から集めており、特に以下の分類に重点を置いて収集・研究が行われています。
- 中日本の維管束植物
- 東アジアのシダ
- ソテツ
- サトイモ類
- 南アメリカのラン科植物
さらに、植物分類学分野の専門研究者による研究が行われており、染色体やDNA解析、化学分類学などの手法を用いた研究が進められています。
園内の見どころ
屋外の植生区画
筑波実験植物園では、日本国内の様々な環境に生息する植物を再現した9つの屋外区画があります。それぞれの区画では、特定の気候・地理条件に適応した植物を見ることができます。
常緑広葉樹林区画
海岸近くの照葉樹林と、内陸の広葉樹林に分かれています。代表的な樹種として、スダジイ・タブノキ・アラカシ・シラカシなどがあります。沖縄から東北地方南部まで広がるエリアを再現しています。
温帯性針葉樹林区画
標高500~1000mの中間温帯地域に見られる、モミ・ツガ・ヒノキ・スギを主体とした針葉樹林を再現。普段は林床が暗いですが、倒木などの影響で部分的に明るくなることで、多様な植物が生育する環境が生まれます。
暖温帯落葉広葉樹林区画
里山の景観を形成するクヌギ・コナラ・ヤマザクラなどが植栽されており、春にはカタクリや二リンソウといった草本類が見られます。
冷温帯落葉広葉樹林区画
標高800~1600mのブナ帯を再現した区画で、ブナ・ミズナラ・カエデ類などが植えられています。湿潤で冷涼な環境を好む植物が多く見られるのが特徴です。
低木林区画
林縁や岩場、風衝地などに見られる低木林を再現。ツツジ類や虫媒花の植物が多く見られます。
砂礫地植物区画
山地性と海岸性に分かれ、それぞれの厳しい環境に適応した植物を見ることができます。
山地草原区画
低地から高地にかけての草原を再現。日本の高山植物も観察できます。
岩礫地植物区画
岩場や急斜面に適応した植物が見られるエリアです。
水生植物区画
湿地や水辺の植物を集めた区画で、特に水草や水生多年草が見どころです。
3つの温室
園内には、以下の3つの温室があり、それぞれ異なる環境に適応した植物が展示されています。
サバンナ温室
アメリカ大陸・アフリカ大陸・オーストラリアなどの半乾燥地域の植物が展示されています。
熱帯雨林温室
約24メートルの高さを誇る温室で、東南アジアのブナ科・ツツジ科・ラン科などの植物を中心に展示しています。
水生植物温室
高さ17.5メートル、約550平方メートルの温室で、熱帯地方の有用植物を育成しています。
交通アクセス
- つくばエクスプレス「つくば駅」からバスで約10分
- JR常磐線「ひたち野うしく駅」または「土浦駅」からバス利用
まとめ
筑波実験植物園は、国内外の多様な植物を学べる貴重な植物園です。研究機関としての側面を持ちながら、一般の来園者にとっても楽しく学べる場となっています。ぜひ訪れて、植物の奥深い世界を体験してみてください。