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SLもおか

SLもおかは、真岡鐵道が運行する蒸気機関車 (SL) 牽引の臨時快速列車で、茨城県の下館駅から栃木県の茂木駅までの区間を結んでいます。この列車は、蒸気機関車の魅力を存分に味わえる鉄道ファンにとっての人気路線であり、地域の観光資源としても重要な役割を果たしています。

SLもおかの運行開始

SLもおかは、真岡線が開業してから6年後の1994年(平成6年)3月27日に運行を開始しました。このプロジェクトは、SLの保有を担当する「真岡線SL運行協議会」によって支えられ、真岡鐵道が運行を担っています。日本国内でC12形蒸気機関車による動態保存運転が行われているのは、このSLもおかだけです。

しかし、2010年代に入ると利用者の減少により運営が厳しくなり、2020年(令和2年)にはC11形蒸気機関車の売却に至りました。それでもSLもおかは根強い人気を保ち、2022年6月26日には累計乗客数が100万人に達し、その達成を祝う記念式典が行われました。

運行概況と乗車情報

定期運行と特別運行

SLもおかは、年間を通じて毎週土曜日と日曜日に1往復ずつ運行されています。さらに、ほとんどの祝日にも運行され、夏休みや冬休み、春休みの期間中には、土日以外の日にも運行されることがあります。この定期運行のダイヤは一貫しており、下り列車(下館発茂木行き)は午前中に、上り列車(茂木発下館行き)は午後に運行されます。

乗車券と整理券

SLもおかに乗車するためには、通常の乗車券のほかに「SLもおか券」と呼ばれる乗車整理券が必要です。この整理券は全車自由席で、大人(中学生以上)は500円、小人(小学生)は250円で販売されています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、2020年7月18日からはインターネットでの事前予約制が導入され、当日に駅係員または車掌が予約確認後に整理券を販売する形式が取られています。また、2022年7月9日からは、予約に余裕がある場合に限り、当日券も取り扱われるようになりました。

ディーゼル機関車によるサポート

SLもおかの運行前後には、ディーゼル機関車(現在はDE10形)が牽引する回送列車が運行されています。このうち、上り列車運行後の下館 → 真岡間の列車(列車番号 6103)は普通列車としても運行されており、特別料金は不要です。

運行開始時の苦労と改善

SLもおかの運行開始当初は、真岡駅および茂木駅に転車台が設置されていなかったため、下り列車は蒸気機関車が正方向で、上り列車は逆方向で客車を牽引していました。しかし、1996年(平成8年)3月22日に両駅に転車台が完成したことで、現在では上下列車ともに蒸気機関車が正方向で牽引する運行が基本となっています。

停車駅と使用車両

SLもおかの停車駅

SLもおかは、下館駅を出発し、折本駅、久下田駅、寺内駅、真岡駅、西田井駅、益子駅、七井駅、多田羅駅、市塙駅を経由して茂木駅までを結びます。このルートは、茨城県から栃木県までの風光明媚な景色を楽しむことができるため、多くの観光客や鉄道ファンに支持されています。

現在の使用車両

蒸気機関車 C12形

現在、SLもおかで使用されている蒸気機関車は、C12形 (C12 66) です。この蒸気機関車は「川俣号」という愛称を持ち、運行開始当初から活躍しています。C12 66はその独特な外観と力強い走行で、多くのファンに愛されています。

ディーゼル機関車 DE10形

また、SLもおかの運行を支えるために、ディーゼル機関車のDE10形 (DE10 1535) も使用されています。この機関車は2004年(平成16年)にJR東日本から譲り受けられ、同年11月2日に営業運転を開始しました。SL運行時のサポートや、回送列車の牽引を担っています。

客車 50系

SLもおかで使用される客車は、JR東日本から譲り受けた50系(オハ50 11・22、オハフ50 33)です。これらの客車は1993年(平成5年)に導入され、現在も営業運転に供されています。車体はぶどう色2号に赤帯を配した塗装が施されており、原形を保ちながらも独自の魅力を放っています。2010年には客車の検査が行われ、白帯が赤帯に変更されました。

過去の使用車両と特異な運行形態

過去の蒸気機関車 C11形

かつてSLもおかでは、C11形蒸気機関車 (C11 325) も使用されていました。この機関車は1998年(平成10年)に予備機として投入され、同年11月1日に営業運転を開始しました。「水原号」という愛称で親しまれていましたが、2018年(平成30年)の真岡市議会で売却が決定し、2019年12月1日のラストランをもって運用を終了しました。その後、C11 325は東武鉄道に譲渡され、現在は「SL大樹」として活躍しています。

特異な運行形態

SLもおかでは、検査や団体列車の運行時に通常3両編成の客車を2両に減らして運行することがありました。また、2機体制で運行されていた時期には、SLの重連運転が行われることもありました。さらに、2018年には栃木デスティネーションキャンペーンの記念イベントとして、SL2両によるプッシュプル運転が実施され、鉄道ファンにとっては貴重な体験となりました。

これらの運行形態は、SLもおかが提供する特別な魅力の一つであり、多くの鉄道ファンがその瞬間を楽しみにしています。

Information

名称
SLもおか

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