施設概要
開館の背景
古河文学館は、平成10年(1998年)10月24日に茨城県で初めての文学館として開館しました。古河にゆかりのある文学者たちの展示を中心に、多目的に利用できるサロンや講座室も設けられています。また、イタリア料理のレストラン「唐草」も併設されており、文学だけでなく食事も楽しめる施設となっています。
施設の特徴
サロンでは、コンサートや朗読会が定期的に開催され、1930年頃に英国のE.M.ジーンが作成した蓄音機「EMGマークXb」を用いたSPレコードの鑑賞会も行われています。講座室は、句会や歌会、文学講座など、様々な文学活動に利用されています。
展示内容
展示室1:古河ゆかりの文学者たち
この展示室では、古河にゆかりのある文学者たちの作品や肉筆原稿などを展示しています。具体的には、小林久三、佐江衆一、和田芳恵、粒来哲蔵、粕谷栄市、山本十四尾、沖ななも、松本進、一色悦子、金田常代、金田卓也、逸見猶吉、和田芳惠、若杉鳥子といった文学者たちの資料が紹介されています。また、古河で活動した同人誌や古河を舞台にした作品も取り上げられています。
展示室2:鷹見久太郎と絵雑誌「コドモノクニ」
展示室2では、古河藩家老だった蘭学者・鷹見泉石の曾孫である鷹見久太郎に焦点を当てています。彼が主宰した児童向け絵雑誌『コドモノクニ』とその後継誌『コドモノテンチ』の関連資料が展示されています。『コドモノクニ』は、当時の一流の専門家たちを迎えて制作された豪華な雑誌で、特に美しい絵と童謡が紙面を飾り、児童向けの雑誌の中でも特別な存在でした。
展示室3:歴史小説家 永井路子
古河出身の歴史小説家・永井路子の品々や代表作品が展示されている展示室です。永井史観とも呼ばれる独自の歴史解釈に基づいて描かれた彼女の作品世界を垣間見ることができます。
別館:永井路子旧宅
平成15年(2003年)10月に開館した別館は、歴史小説家・永井路子が幼少期を過ごした旧宅を復元し保存したものです。古河文学館から北へ500mほどの江戸町通りに位置し、江戸時代には最も賑わった町通りとして知られていました。永井家は江戸時代から続く商家で、土蔵造りの2階建ての店蔵が残されており、自由に見学することができます。
永井家の初代・永井八郎治が19世紀初頭に葉茶屋「永井屋」を開業し、のちには陶漆器や砂糖の販売、さらには質屋も営んでいたことがわかります。この旧宅は、歴史的な商家の様子を垣間見ることができる貴重な施設です。