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地図と測量の科学館

(ちず そくりょう かがくかん)

地図の世界を冒険しよう!

茨城県つくば市にある「地図と測量の科学館」は、地図や測量に関することを楽しく学べる日本唯一の科学館です。地図の仕組みや測量の歴史、そして私たちの生活と地図の深い関わりなどを、インタラクティブな展示や体験を通して学ぶことができます。毎年6月の「測量の日」には「測量と地図のフェスティバル」が開催されるなど、さまざまなイベントが行われています。

施設の目的と展示内容

地図と測量の科学館では、地図や測量の原理や仕組み、そしてそれが日常生活とどのように関わっているかをわかりやすく展示しています。また、国土地理院が保有する地図や航空写真といった貴重な資料も提供されており、来館者は地理や地形についての深い理解を得ることができます。館内は2階建てで、展示面積は5,464平方メートルに及び、屋外の「地球ひろば」と合わせて訪れる人々に充実した体験を提供します。

展示館の詳細

展示館は、2階に常設展示室と特別展示室、1階にホール、オリエンテーションルーム、売店、地図のギャラリー、情報サービス館が設けられています。館内は自由に見学できるほか、希望者はガイドツアーを申し込むことも可能です。また、「測量の日」のキャラクターである「マッピーくん」が、館内のキャラクターとしても活躍しています。

展示内容の詳細

常設展示室

常設展示室は、科学館のメインエリアとなっており、入り口には「ワープトンネル」が設けられています。このトンネルを通ると、左側に「A.地球に向かう」、奥には「B.情報に向かう」、右側には「C.暮らしに向かう」の3つのテーマに沿った展示が展開されています。これらの展示は、パネルやコンピュータグラフィックス、測量機器、コンピュータを利用しており、来館者は視覚的に楽しみながら学ぶことができます。

A.地球に向かう

「A.地球に向かう」エリアでは、グローバルなスケールでの展示が行われており、「大地からのコール」では風の音や鳥の声などが流れ、自然環境を感じることができます。また、「位置を示す」のコーナーでは、日本経緯度原点や日本水準原点に関する解説が行われ、一等三角点の標石や対空標識の展示もあります。

B.情報に向かう

「B.情報に向かう」エリアでは、パブリックスケールの展示が特徴で、「目測の天才」というコーナーでは、来館者が距離、高さ、角度を目測で推定し、クイズ形式でその精度を測ることができます。また、日本の古地図や世界各国の地形図も展示されており、地図の歴史や多様性について学ぶことができます。

C.暮らしに向かう

「C.暮らしに向かう」エリアでは、ヒューマンスケールの展示が行われており、「地図工房」ではコンピュータを使用して地図を作成する体験ができます。また、「地図をつくろう」のコーナーでは、来館者が型紙を使って富士山の地図を作成する体験もでき、実際に手を動かしながら学ぶ楽しさを味わうことができます。

特別展示室とその他の施設

特別展示室では、年に数回の企画展が開催されており、毎回異なるテーマで地図や測量に関する深い知識を提供しています。第1回目の企画展では「地図 楽しさと遊びの世界」と題して、日本や世界のさまざまな時代の絵地図や鳥瞰図が展示されました。また、2012年5月時点では、「東日本大震災から1年」というテーマで特別展示が行われました。

オリエンテーションルーム

オリエンテーションルームは、130インチの大型スクリーンを備えた多目的スペースで、会議室やオーディオ・ビジュアルルームとして利用されています。80人程度を収容可能で、児童向けの映像上映や学会の会場としても使用されています。

売店

館内には、財団法人日本地図センターの「つくば販売カウンター」があり、国土地理院が発行する最新の地図や地図帳、地図に関する書籍、地球儀やキルビメータなどの地図グッズが販売されています。以前は喫茶室が併設されており、喫煙も可能でしたが、現在は売店のみの運営となっています。

情報サービス館

情報サービス館では、戦後から現在に至るまでの空中写真や明治以降の旧版地形図、世界各国の地図、「基準点成果」などが閲覧でき、謄本の交付も行われています。また、ホールと情報サービス館を結ぶ通路は「地図のギャラリー」として、国土地理院の主題図や数値地図が展示されています。

屋外展示「地球ひろば」

「くにかぜ」と球体模型

屋外展示の「地球ひろば」では、特に注目すべき展示として「くにかぜ」があります。これは、20万分の1の地勢図をつなぎ合わせて作られたセラミックタイルでできた球体模型であり、地球の丸さや日本の国土の広さを実感することができます。この模型は、つくば市を中心に、日本列島全体を包含する半径2,200kmの範囲を切り取ったもので、実際の直径は21.5メートルに達します。身長170センチメートルの人が球体の上に立つと、高度約300キロメートルの軌道上にある人工衛星から日本を見下ろしているような視点を体験できます。

「地球ひろば」には、他にも測量用航空機「くにかぜ」の展示が行われており、測量技術の発展に貢献した歴史を感じることができます。

地球ひろばの復旧と再開

2011年3月11日に発生した東日本大震災により、「地球ひろば」の球体模型も被災しましたが、修復を経て、2011年12月23日に再公開されました。この修復には大塚オーミ陶業が協力し、最新の地勢図を使った模型として生まれ変わりました。

地図と測量の科学館の歴史

設立までの経緯

地図と測量の科学館が設立される前、地図に関する資料を所蔵する機関は、国立歴史民俗博物館や神戸市立博物館、天理大学附属天理図書館など、日本各地に点在していましたが、地図専門の博物館や、測量に関する博物館は存在していませんでした。また、既存の資料を所蔵するこれらの機関は、一般の人々にとって親しみやすい施設とは言い難い状況でした。

地図と測量の科学館の誕生

このような背景から、1988年(昭和63年)4月21日に日本学術会議は、科学技術の最先端を担う国にふさわしい「地図に関する博物館」の建設を内閣総理大臣に提言しました。この提言がきっかけとなり、国土地理院は地図や測量について、より多くの人々が親しみやすく学べる施設の設置を検討することになりました。

その結果、1996年(平成8年)6月1日に「地図と測量の科学館」が開館しました。開館初年度の夏には、日本国際地図学会の定期大会が館内のオリエンテーションルームで開催されるなど、地図や測量に関する専門的なイベントも行われました。

震災による被災と再開

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)により、地図と測量の科学館も被災しましたが、迅速な対応により、同年4月23日には再開することができました。しかし、「地球ひろば」の球体模型の復旧には時間を要し、修復が完了したのは同年12月23日でした。修復には約5,355万円がかかり、現在ではより正確で最新の地勢図を使用した模型として展示されています。

交通アクセスと駐車場

地図と測量の科学館へは、複数の交通手段でアクセスが可能です。自動車でお越しの方には無料の駐車場が用意されています。公共交通機関を利用する場合、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスつくば駅(つくばセンター)から自動車で約10分、または関東鉄道バス建築研究所行き(土休日運休)、つくばサイエンスツアーバス北回り(土休日運転)、下妻駅行きのいずれかに乗車し、国土地理院で下車するとすぐに到着します。さらに、首都圏中央連絡自動車道つくば中央ICから茨城県道19号取手つくば線経由で約6km(約20分)、または常磐自動車道桜土浦ICから国道354号および学園西大通り経由で約11km(約30分)の距離です。

地図と測量の科学館の重要性と展望

地図と測量の科学館は、日本国内において地図と測量に特化した唯一の施設であり、その歴史や科学技術の発展を後世に伝える重要な役割を担っています。特に、地図や測量に関する基礎知識から高度な技術までを体験しながら学べる場として、教育的価値が高い施設です。これからも、さまざまな企画展やイベントを通じて、多くの人々が地図や測量に興味を持ち、理解を深めることが期待されます。

地図と測量の科学館は、科学の進歩とともに進化し続ける展示内容と、親しみやすい雰囲気で、訪れる人々に新たな発見と学びの機会を提供し続けています。

Information

名称
地図と測量の科学館
(ちず そくりょう かがくかん)

つくば・土浦

茨城県