歴史と沿革
筑波山ケーブルカーは、大正14年(1925年)に開業しました。関東では箱根登山ケーブルカーに次ぐ2番目の開業であり、全国でも5番目に古いケーブルカー路線です。 当時の筑波山は、多くの参拝者や修行者が訪れる霊山でした。より多くの人々に訪れてもらうことを目的に、茨城の実業家・高柳淳之助氏らが働きかけ、筑波山鋼索鉄道株式会社が設立されました。
しかし、昭和19年(1944年)には戦時中の不要不急線として一度営業を休止。その後、昭和29年(1954年)に再開し、現在に至るまで運行が続けられています。 平成11年(1999年)には筑波山ロープウェー株式会社と合併し、筑波観光鉄道株式会社となりました。
路線の概要
筑波山ケーブルカーの路線は、男体山の中腹に位置する宮脇駅から、山頂近くの筑波山頂駅(御幸ヶ原)へと続きます。 途中、線路が西へ大きくカーブし、約90度の角度を持つ点が特徴的です。また、難工事を要した斑れい岩の「長峰トンネル」(118m)を通過します。
ケーブルカーの運行データ
- 路線距離(営業キロ):1.634 km
- 軌間:1,067 mm
- 駅数:2駅(起終点駅含む)
- 高低差:495 m
- 方式:単線釣瓶式
- 最高時速:12 km
運行形態
筑波山ケーブルカーは、通常20分間隔で運行されますが、多客時には連続運転が行われます。 宮脇駅から筑波山頂駅までの所要時間は約8分です。始発は9時前後、終発は17時前後であり、季節や曜日によって変動します。
車両の特徴
現在運行されている車両は3代目で、1995年に大栄車輌で製造されました。 当初「つつじ」「もみじ」という愛称が付けられていましたが、2005年に車体デザインの変更とともに「つつじ」が「わかば」に改称されました。 車両のカラーリングは、赤(もみじ)と緑(わかば)を基調としています。
車両スペック
- 最大乗車人員:1台あたり107名(車掌含む)
- 1時間あたりの輸送人数:最大642人
景観と見どころ
四季折々の車窓風景
筑波山ケーブルカーの魅力の一つは、車窓から望む四季折々の景色です。 春には梅、桜、カタクリ、ニリンソウ、ツツジが咲き誇り、初夏にはアジサイが美しく彩ります。 秋には紅葉が広がり、冬には幻想的な雪景色を楽しむことができます。
山頂からの絶景
山頂駅付近からは、つくば市の街並みをはじめ、遠く東京スカイツリーや東京都心の高層ビル群、さらには富士山、浅間山、日光那須連山まで見渡すことができます。
筑波山の巨岩と杉の巨木
標高500mを超えると、樹齢500年を超える杉の巨木が数多く見られます。また、筑波山を形作るハンレイ石の巨岩が点在しており、大自然の壮大な景観を体感することができます。
主要駅の紹介
宮脇駅(標高305m)
宮脇駅は筑波山神社の隣に位置しており、その名前の由来は「お宮の隣→お宮の脇→宮脇」となったと言われています。
筑波山頂駅(標高800m)
筑波山頂駅は男体山山頂に近い御幸ヶ原にあり、展望台やレストランなどが併設されています。
アクセス情報
筑波山ケーブルカーへのアクセスは、鉄道駅から直結する路線はなく、バスなどによる連絡が必要です。
宮脇駅へのアクセス
- つくばエクスプレス「つくば駅」から筑波山シャトルバス(筑波山神社入口バス停下車)
- 関東鉄道バス、つくば市コミュニティバスも利用可能
まとめ
筑波山ケーブルカーは、歴史あるケーブルカー路線として、長年にわたり多くの観光客に親しまれています。 美しい景観、歴史的価値、利便性の高さを兼ね備えたこのケーブルカーは、筑波山観光の重要な交通手段であり、多くの人々に愛され続けています。