前川十二橋めぐりの誕生の経緯
前川十二橋めぐりが誕生したのは、昭和46年に行われた前川水門工事がきっかけです。この工事によって、古くから水郷潮来のシンボルとして親しまれていた「水雲橋」が姿を消すことになりました。しかし、その再建を惜しんだ地元の人々により、水雲橋の再建が行われ、これが前川十二橋めぐりの始まりとなりました。
遊覧船運航の開始と一時停止
昭和53年6月には、潮来町開発公社によって前川十二橋を巡る遊覧船の運航が開始されました。しかし、さまざまな事情から一旦その運航は休止されることとなりました。
ろ舟運航の再開とその後
昭和59年、商工会青年部の尽力により、ろ舟(遊覧船)の運航が再開されました。水郷情緒の復活を求めて立ち上がったこの活動は、遠来の観光客はもちろん、地元の人々にも人気を博し、現在に至っています。
潮来の歴史と文化的背景
潮来の歴史は非常に古く、1185年に源頼朝によって建立されたといわれる長勝寺があります。江戸時代には、東北諸藩からの物資を江戸城まで運ぶ中継地として栄えました。また、小唄「潮来出島」は花柳界でも有名で、潮来の名を全国に知らしめました。
昭和時代の観光ブーム
昭和の時代には、「潮来花嫁さん」や「潮来笠」のヒットにより、潮来は一大観光地として脚光を浴びました。さらに、映画やテレビのロケ地となったことで、潮来の観光ブームに拍車がかかり、現在も多くの観光客が訪れる街となっています。
前川十二橋の詳細と魅力
前川十二橋は、北利根川から前川を遡る順に、以下の橋が含まれます:
- 前川水門橋
- あやめ橋
- 雨情橋
- 思案橋
- 水雲橋
- 潮音橋
- 天王橋
- 出島橋
- まこも橋
- 千石橋
- 上米橋
- 前川橋
前川十二橋めぐりのルートと見どころ
前川十二橋めぐりは、前川に架かるこれらの橋を巡るルートを運航し、再び乗船地に戻る行程です。川沿いにはあやめ園が広がり、特にあやめまつりのシーズンには、たくさんの花菖蒲が咲き誇ります。
霞ヶ浦と潮来の結びつき
前川は茨城県潮来市を横断する河川で、西は常陸利根川、東は北浦に合流します。この川は古くから霞ヶ浦や北浦とつながり、水運の要所として町の発展を支えてきました。
十二橋めぐり:潮来の風情をたっぷりと楽しむ
潮来では、古くから水路が縦横に張り巡らされており、人家と人家を行き来するために小さな橋が多数架けられていました。この橋の数が十二あったことから、「十二橋」と呼ばれるようになりました。現在では、サッパ舟に乗ってこれらの橋を巡る「十二橋めぐり」が観光の目玉となっています。
前川十二橋めぐりと加藤洲十二橋めぐり
十二橋めぐりには、「前川十二橋めぐり」と「加藤洲十二橋めぐり」の2つのルートがあります。前川では、十二橋めぐりの遊覧船のほかに、手漕ぎの「ろ舟」も運航されています。
いたこ丸遊覧船:ゆったりとした船旅
いたこ丸遊覧船は、前川十二橋の名の通り、生活路として現在も使用されている十二の橋を「さっぱ舟」と呼ばれる小舟に乗って巡ります。前川あやめ園を眺めながら進み、大門河岸、津軽河岸あと広場、仙台河岸をゆっくりと遊覧し、大洲地区まで向かい、再び出発地点に戻ります。水辺でのゆらぎを楽しむ、この船旅は、道路では味わえない特別な体験を提供します。
季節ごとの楽しみ
5~6月のあやめまつりの時期には、花まつりが開催され、8月の潮来祇園祭禮の3日間には、川べりに各町内の大きなのぼり旗が立てられます。素鵞熊野神社からお浜おりされたご神体が御仮屋沿いに鎮座し、祭り囃子が響き渡る中、潮来観光を一層楽しむことができます。
十二橋
十二橋は、千葉県と茨城県にまたがる水郷エリアにあり、前川十二橋と加藤洲十二橋の2つが存在します。近接しているため、しばしば混同されることもありますが、総称としても使用されています。
加藤洲十二橋めぐり:古き良き時代を感じる旅
加藤洲十二橋は、利根川と常陸利根川にはさまれた広大な水田地帯にあり、水郷筑波国定公園の指定を受けた地域に位置しています。このエリアは、江戸時代から水路が縦横に張り巡らされており、人々は舟で移動していました。
加藤洲十二橋の歴史と風景
加藤洲十二橋は、家と家を結ぶ12本の簡単な橋が架けられていたことから名付けられました。現在もその橋の下をサッパ舟に揺られて進む「加藤洲十二橋めぐり」は、水郷情緒をたっぷりと味わえる旅として多くの観光客に人気です。
季節ごとの風景
特に晩春から夏にかけては、与田浦の水郷佐原あやめパークにアヤメやハナショウブが咲き、舟旅は一層華やかになります。この時期には、水辺にアジサイも咲き、舟客を楽しませる土産物店もにぎわいます。
前川十二橋と加藤洲十二橋の違い
前川十二橋めぐりは、潮来あやめまつりの会場である水郷潮来あやめ園に沿って流れる前川を運航します。前川に架かる橋を巡り、Uターンして乗船地に戻るルートです。一方、加藤洲十二橋めぐりは、北利根川を横断し、加藤洲水門をくぐって細い水路を運航します。この水路では、船頭の巧みな竿さばきを見ることができ、風情にあふれた景観を楽しめるコースとなっています。