立地と環境
厳島神社は、鹿島街道(国道51号線)に面した森の中に鎮座しており、周囲を森に囲まれた美しい景観が広がっています。神社の鎮座地は大谷川の水源である池のほとりにあり、その様子は安芸の宮島にある厳島神社を彷彿とさせます。
神社の歴史と由来
厳島神社の創建は、1265年(文永2年)とされており、安芸国(現在の広島県)にある厳島神社から分霊を勧請したと伝えられています。この地が常陸平氏一族と深い関わりを持っていたことから、厳島神社の創建は自然な流れと考えられています。
さらに、文化6年(1809年)に記された「御累書年代記写」には、1078年(承暦2年)にはこの地に弁才天が祀られていたという記録があります。このことから、弁才天信仰と厳島神社信仰が次第に重なり合い、地域の人々や常陸平氏一族の末裔たちの厚い尊崇を受けるようになりました。
本殿と拝殿の特徴
現在の厳島神社の本殿は1697年(元禄10年)に建てられ、1747年(延享4年)に改修されました。神社の本殿は、池の中央に浮かぶように立ち、朱塗りの欄干に囲まれています。向拝柱には精巧な竜の彫刻が施されており、この彫刻は一木造であることが特徴です。
本殿と拝殿はそれぞれ茨城県と鉾田市の文化財に指定されており、地域の貴重な文化遺産として保護されています。
厳島神社の信仰とご利益
厳島神社の主祭神である市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)は、地元では「子生の弁天様」として親しまれており、子宝や安産のご利益があるとされています。このため、多くの人々が安産や子宝を願って神社を訪れています。
火災と再建の歴史
寛文12年(1672年)8月に、厳島神社は大火に見舞われ、建物から境内の樹木までが焼失しました。この火災により、神社に関する記録や資料はほとんど失われましたが、その後、地域の人々の手で再建されました。
昭和43年(1968年)には本殿が茨城県指定文化財に、昭和48年(1973年)には拝殿が鉾田市指定文化財に指定され、神社の重要性が再認識されました。